【興味のある方・学生・治療家向け】
私たち鍼灸師が行なっている、
「中国医学の歴史」をひもといていくブログです。
ちょっと難しめです。でも面白いです。
院内教育用ブログも兼ねています。
東洋医学出版の「中国医学の歴史」を主な参考文献としています。
中医学の歴史の中で、歴史上、重要な人物たちがいます。
今回は、「古代医学における伝説上の人物 ③」です。
古代文献に出てくる人物は、
実在している人物というよりは、伝説に出てくるような、
神様や仙人といった、人離れした超能力を持った人物として描かれています。
今日は、黄帝(こうてい)という人物を見ていきたいと思います。
黄帝は、我々鍼灸師にとって、最も著名な人物の一人です。
なぜなら、中医学の原点の書とも言える「黄帝内経」は、彼の名前を冠しているからです。
では、黄帝とはどんな人物だったのでしょうか?
黄帝は、古代の伝説に著されている「三皇五帝」の「五帝」の一人です。
彼は、兵術に優れ、近隣の部族を討伐・併合して行き、
蚩尤氏(有力豪族)神農氏(三皇である神農の子孫)をも打ち破り、
中原の地(古代中国の中央部、現代の黄河中・下流)を統一しました。
現在のほとんどの漢民族には、黄帝の血が流れていると言われています。
黄帝が、在位の時代には、
新しい文化や生産技術が数多く生み出されたと言われています。
木製の船や車が作られたり、
新しい様式の家屋が建てられたりしました。
また、養蚕が行われ始めたのも黄帝の時代です。
漢字や干支が作られ、楽器が発明されました。
そして、何と言っても特筆すべきは、
黄帝と臣下の岐伯との問答という形式で作られた「黄帝内経」です。
実は「黄帝内経」の成立時期は、この時代よりもずっと後の時代になります。
後の世の人々は、中国最古の医学書に、
伝説的な黄帝の名前を冠し「黄帝内経」と称し、
黄帝とその臣下である岐伯や雷公の問答という形で記したようです。
次回は「古代医学における伝説上の人物 ④」です。
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