原始時代の医療 外治法のルーツ②

【興味のある方・学生・治療家向け】

私たち鍼灸師が行なっている、

「中国医学の歴史」をひもといていくブログです。

ちょっと難しめです。

でも面白いです。

院内教育用ブログも兼ねています。

東洋医学出版の「中国医学の歴史」を主な参考文献としています。

今回は「外治法のルーツ②」についてです。


原始時代の医療(太古〜紀元前2100年くらい)

外治法のルーツ②

前回、原始時代の外治法は6つのうちの3つをご紹介しました。

今回は、残り3つをご紹介したいと思います。


「原始灸治法」

火の利用を始めた原始人たちは、火傷を追うことも多かったようです。

火傷の痛みはとても痛いものでしたが、軽い火傷が、別の疾患の苦痛をやわらげるという不思議な体験をします。

この体験から、彼らは次第にある種の植物の枯れた葉や茎で、局所に温熱刺激を与える事で疾病の苦痛を癒す方法を学んでいきます。

この体験と学びの積み重ねが、灸治療のルーツです。


「原始刺鍼法」

皮膚に発赤・腫脹・膿疱などができたときに、原始人たちがまず行ったのが、石の尖った部分で、膿疱を破り、膿を出し、血を放出して腫れをひかせる、という方法をとったと考えられています。

その道具が進歩して、医療用石器具である「砭石(へんせき)」が生みだされました。

この砭石を使った、排膿・放血・消腫が、のちの刺鍼治療法のルーツになったと考えられています。


「原始外科手術」

原始人たちが、石刀を使い、帝王切開・卵巣切除・四肢切断・耳鼻穿孔術・開頭術などをやっていた形跡が残されています。

また、現在でも原始社会の段階にとどまっている部族において、激烈な頭痛の治療にこの種の開頭術を行なっている部族がいます。


次回は、「原始時代の医療器具」についてです。

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