原始時代の医療器具

【興味のある方・学生・治療家向け】 

 私たち鍼灸師が行なっている、 「中国医学の歴史」をひもといていくブログです。

 ちょっと難しめです。 でも面白いです。

 院内教育用ブログも兼ねています。

 東洋医学出版の「中国医学の歴史」を主な参考文献としています。 


今回は「原始時代の医療器具」についてです。 


  旧石器時代、人々は、石や木を使って様々な道具を作り出していきました。

その中で、石の研磨技術が発達していきます。

そして、原始医療器具と呼ばれる石器具も作られました。


 中国最古の原始医療器具は「砭石」(へんせき)と呼ばれる石片で、

先端が鋭利に尖ったもの、球状のもの、卵型のものなど、様々な形をしています。

「 砭石」は、とても種類が多く、それぞれの治療目的や効用によって、

使い分けられていました。 


「熨法に使われた砭石 」

熨法とは、温罨法のことで、この熨法に砭石が使われていたようです。 

古典によると、3つの方法で使われていました。

 

一つ目は、この砭石を火で熱し、水中に入れて湯とし、その湯に患部や局部をつける「水温法」。 


二つ目は、砭石をまだ火の気のある灰の中へ埋め、適温になったところで取り出し、その石を局所あてがう「火煨法(かわいほう)」。 


三つ目は、火であたためた石を身につけて、長くその熱で補養する「蔵身法(ぞうしんほう)」。


 熨法に使われた砭石は、肌にあてて心地よい、球形・扁平な円形のものが多かったようです。 


「あん摩に使われていた砭石」

とても滑らかに磨きをかけられた卵形のもので、

なかには、円形の中にくぼみがあるものもあり、

施術者の手指を差し込むものであると考えられています。


「 腫瘍の切除、瀉血に使われた砭石」

古典には、腫瘍を切除したり、瘀血を瀉するために砭石が使われたことが記されています。

その形は様々で、なかには、現在の鍼と同型のもあり、

石鍼とも呼ばれています。


「 砭石」は、現在の「手術刀や鍼・按摩器などのルーツ」と言えるのです。


 次回は、「古代医学における伝説上の人物」についてです。

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